2019年以降、フードロス、食品ロスという言葉を耳にする機会が増えた方は多いのではないでしょうか。どちらも、まだ食べられるのに廃棄される食品を意図した言葉ですが、英語圏で暮らす方には正しく意味が伝わらない恐れがあります。
「まだ食べられるのに食品を廃棄すること」を指す言葉は、英語圏では「food waste」(フードウェイスト)で表現します。英語圏で「foodloss」(フードロス)は食品の量や質、価値が下がることを指すため、正しく意図が伝わらない恐れがあります。
「食品ロスの意図が正しく伝わらない」という機会が起こるのは、それだけ食品ロスに対する問題意識が世界的に広がったためです。
この記事では、食品ロスとフードロスの言葉としての違い、国内の食品ロスの現状や問題点について紹介します。ぜひ最後まで読み進めていただき、食品ロスについての理解を深めましょう。
食品ロス、フードロスというワードは、近年ニュースメディアで取り上げられる機会が増えてきました。なぜかというと、世界的に人口が増加し、食品危機が迫っていると言われるようになったからです。「食糧危機が迫っているのに、食糧を無駄にしている場合ではない」というわけですね。
では、はじめに最近よく耳にする「食品ロス」と「フードロス」という言葉の意味を確認してみましょう。
農林水産省では、『まだ食べられる、可食部位を含む食品を廃棄すること』を指して食品ロスと呼んでいる。ポイントは可食部位を含んでいる点で、「賞味期限切れだけを理由に食品を廃棄すると、食品ロスが増える」などのように使用する。
一方、魚の骨や果物の皮など、不可食部位を廃棄することは食品ロスには該当しない。
英語圏では、可食部位を含む食品の廃棄を「food waste」(フードウェイスト)と表現する。
日本国内では、食品ロスと同じ意味で使用されている。
一方、英語圏でフードロスというと、食品の質や量、価値が低下することを意味する。
※「foodloss」の「loss」は、英語で損失や紛失を意味する。
日本国内では、食品ロスとフードロスは同じ意味で使われることがありますが、言語圏によって意味の違いがあることは理解しておきましょう。
前章では、食品ロスとフードロスの言葉の意味について、日本語圏と英語圏での解釈の違いを紹介しました。では、具体的に『食品ロス』と呼ばれるものはどのようなものがあるのでしょうか。
繰り返しになりますが、日本国内における食品ロスは『まだ食べられる、可食部位を含む食品を廃棄すること』を意味します。簡単に言うと、『食べ物のムダ』です。食品ロスとして廃棄されるものの具体例を紹介すると、以下のようなものがあります。
一方、食品ロスと似た言葉に『食品廃棄』というものがあります。言葉は似ていますが、食品廃棄は不可食部、つまり食品の食べられない部分を捨てることです。したがって、食べ物のムダには該当しません。
簡単にまとめると、食品ロスは『食べ物のムダ』であり、食品廃棄は『食べられない部分を捨てること』です。日頃から食品ロスを意識し、食べられる食品をムダにしていないか考えて、食糧問題に目を向けてみましょう!
食品ロスは、どのように発生するのでしょうか。食品ロスが発生する原因は、以下のようなものがあります。
また、食品ロスには事業系食品ロスと家庭系食品ロスがあり、食品ロスの発生家庭にそれぞれ特徴があります。
事業系食品ロスは、主に食品の輸送中や加工時に発生することが多いです。飲食産業での食べ残しなど、事業者側の努力で削減が難しいという特徴があります。
対して家庭系食品ロスは、賞味期限が切れてしまった、保存していた食品が腐ってしまったなどの理由で発生することが多いです。各家庭で食品ロスの問題意識を高めれば、抑制できるという特徴があります。
では実際に、日本国内ではどれくらいの食品ロスが発生しているのでしょうか。平成29年の推測値によると、年間612万トンの食品ロスが発生したと考えられています。これは、国民一人当たり(※)、1日に茶碗一杯分の食べ物が捨てられている計算になります。
※平成29年時点、日本の人口は約1億2500万人
また、食品ロスの内訳は以下のとおりです。
前章で、事業系食品ロスは事業者の努力では削減が難しく、家庭系食品ロスは消費者側の努力で削減が可能な特徴をご紹介しました。つまり、日本国内で発生する食品ロスの約半数は、消費者側の意識で削減することが可能です。
また、事業系食品ロスは必ずしも削減ができないわけではありません。賞味期限間近、多少の外装のキズなどを消費者が受け入れれば、商品価値の低下による食品ロスを削減することにつながります。つまり、大切なのは我々消費者の食品ロスに対する問題意識なのです。
では、なぜ食品ロスは問題視されるのでしょうか。以下のような理由があります。
ひとつずつ詳しく見てみましょう。
国連世界食糧計画(WFP)による食糧援助量は、全世界で420万トン(2019年実績)でした。現実的ではありませんが、日本国内の食品ロスが全て食糧援助できれば賄える量です。日本で廃棄される食糧をすべて集めれば、多くの飢餓に苦しむ人を救う助けになります。
食糧の生産には、多くの資源やエネルギーが使われます。穀物生産を例に考えてみましょう。
穀物を育てるためには、耕運機などの農業機械を使って肥料を土にまぜ、畑を整備しなければなりません。育った穀物は、我々消費者のもとにトラックなどの輸送手段をつかって届けられます。場合によっては、小麦粉などの加工食品として届けられることもあるでしょう。
穀物生産だけ考えてみても、農業機械やトラックの燃料、畑にまかれる肥料などの資源が使われています。食品をムダにすると、生産や輸送に使われた資源やエネルギーのムダにつながるのです。
食品をムダにすると、食糧生産のために使われるエネルギーの効率が下がります。エネルギー効率が下がると、食品が消費者に届く間に発生する二酸化炭素量の増加は避けられません。食品のムダが発生すると、より多くの二酸化炭素が発生することを覚えておきましょう。
いかがでしたでしょうか。食品ロスとフードロスの意味の違いに始まり、なぜ食品ロスが世界的な問題になっているのかが簡単に理解できたのではないでしょうか。
食品ロスは、完全にゼロにすることは難しいですが、我々消費者の心がけで削減することができます。この記事が、世界の食糧問題に目を向け、あなたの日頃の行動を変えるきっかけになれば幸いです。
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