会社や団体、役所や医療機関など、個人情報や機密情報を取り扱う場面は多くあります。
処分をしないと溜まっていく一方の機密文書をどのように処分すればよいか、担当者なら一度は悩んだことがあるのではないでしょうか?
機密文書は、個人に関する機微(センシティブ)情報や法人の大事な情報、外部に知られては困ってしまう大事な情報が入った重要なものです。
機密文書の流出は、会社の信頼にも関わる重大な事件に繋がりかねません。
そこで今回は、機密文書の種類や、機密文書の処分方法についてご紹介します。
一般的に機密文書と言われるものの中にも複数の段階があり、会社によって取り扱いが異なります。
機密文書の中には、取り扱うレベルに応じて「極秘文書」「秘文書」「社外秘文書」などに分けられ適切な保管期間や処分方法があります。
企業が経営する上で最も重要度が高く、厳重に管理する必要がある文書です。
漏洩した場合には企業の利益に損害を与える文書で、未発表の研究や企業の合併や統廃合、株式に関する情報などごく一部の担当者のみが閲覧可能な文書です。
国や公的機関でも、極秘文書の漏洩は大きな損害を与えるものになる最高クラスの重要度を持っています。
極秘文書の次に重要な文書で、社内でも関係者以外には公にされない性質の文書です。
法人の事業で外部には出せない資料や従業員の個人情報、人事についての文書などが秘文書にあたることが多くあります。
極秘文章よりは低いレベルになりますが、高いセキュリティで保管される文書のひとつです。
社外には公開せずに社内で共有される文書です。
社内では閲覧が可能ですが、外部には漏らしてはいけない情報が多く含まれます。
企画書や顧客リスト、証憑類などが含まれるため各部署で管理される文書のひとつです。
なお、個人情報保護法では個人情報を次のように定義しています。
「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などによって特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合でき、それによって特定の個人を識別できることとなるものを含む。)、または個人識別符号が含まれるもの。」
つまり、「氏名」だけでも個人を特定できる場合には個人情報に該当し、「氏名と生年月日」などもお個人情報になります。
「個人識別符号」にはDNAや指紋、マイナンバーなども広く含まれています。
取り扱いの内容や取り扱う場所によっては、個人情報も重要な機密情報になり得ます。
機密文書を処分する方法には、主にシュレッダー処分と溶解処理の2つの処分方法があります。
どちらの方法にもメリット、デメリットがあり、それぞれの処分方法で費用や手間が異なります。
近年、個人情報を含む機密文書の流出が増加しており多くの場合、盗難など外部の要因ではなく社員による紛失や置き忘れなどヒューマンエラーが大半を占めていると言われています。
また働き方の変化により、在宅ワークなども増加しており重要な情報の管理も以前と比較すると難しくなっていると言えそうです。
機密文書を処分する場合には、適切な処分をして外部に情報が漏れてしまわないように注意をしたいものです。
機密文書の処分は、不要になった段階でできるだけ速やかに、復元ができないように処分をすることが望ましく、処分をした記録をしっかりと取っておくと後々のトラブルを防げます。
機密文書を処分する際に、シュレッダーで処分することは最も手軽にできる処分方法のひとつです。
シュレッダーは1960年代に日本製のものが発売されましたが、当時は現代よりも機密文書などの概念はなく一部の会社等でしか使用されなかったと言います。
しかし、2003年に個人情報保護法が発令されたことでシュレッダーの需要が大きく伸びたと言われています。
今では、手回し型の簡易なシュレッダーから、冷蔵庫大の大きなシュレッダーまでどこの会社にも一台は備えられている場合も多いのではないでしょうか。
機密文書をシュレッダーにかける場合の、メリット・デメリットはどのような点かご紹介します。
【処分が目に見えてわかる】
大きさの大小は問わず、シュレッダーを備える会社が増えています。
シュレッダーは目の前で書類が粉砕されることで、目に見えて書類の処分が出来ていることを確認できることが一番のメリットです。
【手軽に処分できる】
シュレッダーによる処分は手軽にできることが大きなメリットです。
スイッチを入れて紙を挿入するだけで、手間も要らないためいつでも気軽に処分が可能です。
【ゴミが大量に出る】
シュレッダーは紙を小さく粉砕するため、ゴミが大量に出てしまいます。
小さなシュレッダーでは、頻回にゴミを捨てなくてはならず捨てる手間も馬鹿になりません。
【時間がかかる】
シュレッダーの大きさや機能によっては処分に時間がかかってしまいます。
大きなオフィスで少ない台数しかシュレッダーがないと、シュレッダー待ちの行列ができる光景もあります。
【復元できてしまう可能性がゼロではない】
シュレッダーは機械の中のカッターで、紙を粉砕するため復元できてしまう可能性がゼロではないと言われます。
シュレッダーにかけた書類を復元させてしまうソフトなどもあると言われ、100%安心とは言い切れない点がシュレッダーによる処分の一番のデメリットです。
機密文書や廃棄をしたい書類が大量にある場合には、業者に処分を依頼することも可能です。
シュレッダーを搭載した専用車両で目の前で粉砕してもらえるサービスもあるため、費用や処分料に応じて見積もりをとってみるのもいいでしょう。
一般的にはあまり馴染みのない溶解処理による文章の廃棄ですが、溶解処理はリサイクル用紙を作る際の工程のひとつです。
溶解処理は、基本的に自社でできないため専門の業者に頼む方法が一般的です。
一方で、溶解処理は欧米では機密文書の処分方法として認められていないとも言われます。
【手間が少ない】
溶解処理は基本的に自社でやるような工程がなく、ダンボールに書類を入れておけば業者が処分をしてくれるため手間が少ないことが一番のメリットです。
【機密保持契約を結ぶため安心】
専門の業者は、機密文書の廃棄の際に機密保持契約を結ぶことが一般的です。
そのため、安心して処分を依頼できることがメリットになっています。
【情報流出の危険がある】
専門業者と機密保持契約を結ぶというメリットはありますが、目の前で溶解処理される訳ではないため運搬中や処理の際に情報の流出の危険がないとは言えません。
また、処理業者が再委託をした場合にも依頼した業者の責任もなくなるわけではありませんので、業者の制定が重要になります。
【費用がかかる】
溶解処理を外部の業者に依頼する際には、処分費用が必要になります。
シュレッダー処分の場合には、機械があれば費用は必要ありません。
処分費用は業者によって金額が異なるので、複数の業者に見積もりを取ってみるとよいでしょう。
機密文書の流出は企業の信用問題に発展します。
不適切な処分や紛失は、企業の責任問題に発展し取引会社からの信頼にも発展し最悪の場合には倒産にも繋がる可能性のある重大な問題です。
そのため普段から記録を取っておくなど高い意識で取り組むことがいいでしょう。
特に最近では、紙による情報の流出以外にも、パソコンや電子媒体からの情報の流出にも気をつけなくてはいけません。
また、個人情報保護などの勉強会するなど会社ぐるみで取り組むことが重要です。
今回は、機密文書の種類や、機密文書の処分方法についてご紹介しました。
機密文書の処分は企業の責任で行われてなくてはいけません。
費用や手間、書類の重要度に応じて適切な処分をして、紛失や流出がないように取り組みましょう。
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