日々の生活を送る中で、私たちは毎日多くのゴミを排出しています。また、会社や工場など様々な場所からも毎日多くのゴミが排出されています。
環境省の統計では、平成29年度の「一般廃棄物排出量」は年間4,289万トンと、東京ドーム約115杯分に及びます。
(※1)これは一人あたりに換算すると1日920g、実に1kgに近いゴミを排出しているという計算になります。
「我が家ではそんなにゴミを出していない」と思われた方も多いかもしれません。
「廃棄物」は排出された場所や種類などに応じて細かく定義されており、処理責任者や処理方法が異なります。
今回は、廃棄物の種類や、廃棄物の処理に困った場合はどうすればいいのかについてご紹介します。
※1「環境省:一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成29年度)について」
http://www.env.go.jp/press/files/jp/press/1dtgw29.pdf
廃棄物とはどのようなものを指すのでしょうか?
廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)第二条では「廃棄物」を以下のように定義しています。
この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
つまり、廃棄物とは一般的にゴミなどの「汚物や不要物」で、価値のない要らなくなったものを指します。
また、廃棄物は大きく「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分かれます。
廃棄物→産業廃棄物→事業活動に伴って生じた20種類
→特別管理産業廃棄物
→一般廃棄物→事業系一般廃棄物
→家庭廃棄物
→特別管理一般廃棄物
産業廃棄物と一般廃棄物はそれぞれ、誰が処理をするかも決められており産業廃棄物は廃棄物を排出した工場や会社などの事業者、一般廃棄物は市町村が責任を持って処理すると決められています。
(参考)環境省
http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h30/html/hj18020301.html
経済成長や人口増加に伴って、地球規模で廃棄物の増加や種類の多様化が起こっており日本も例外ではありません。
日本では、高度経済成長期にゴミの排出量の増加や産業廃棄物の増加から公害問題が顕在化しました。
1970年には廃棄物処理の責任や、処理基準を明確にした廃棄物処理法が制定され「生活環境の保全」を目的とすることが明示されました。
1990年代(バブル期)にかけては廃棄物の排出量が増加の一途をたどりました。
ペットボトルなどのゴミが増加したのもこの時期の特徴です。
廃棄物の急増により処分場の不足や、既存の処分場の容量が逼迫してきたのもこの時期です。
一方、新たな処分場は地域住民の反対などから進まない場合も多く、ほとんどの都道府県において紛争が発生しました。
また、廃棄物処理法により産業廃棄物の処理責任者は事業者にあると定められましたが、費用負担の増加などから不法投棄が問題になった時期でもあります。
2000年代に入ると「大量生産・大量消費・大量廃棄型」から脱却し、3R【発生抑制(Reduce)、再使用(Reuse)、再生利用(Recycle)】の実施と廃棄物の適正処分が確保される循環型社会を目指す動きが本格化しています。
2000年以降は、最終処分量の目標値を定め計画的かつ効果的に焼却やリサイクルをして、以前と比較すると処分量は大幅に減少しています。
また一般廃棄物のリサイクル率も20%に迫り、着実に循環型社会は浸透してきています。
しかし世界規模で資源が不足していく中で、天然資源の消費を抑制していくことが求められていますが取り組みが遅れていることや、廃棄物から有用資源を回収する仕組みが十分ではないことなど依然として課題が存在しています。
廃棄物は「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分けられます。
一般廃棄物は、主に家庭から出される「家庭ごみ」と会社などから出される「事業ごみ」に分類されます。
その割合は、家庭ごみが約3割、事業ごみが約3割となっています。
一般廃棄物は、2000年をピークに徐々に減少傾向が見られますが2016年度のゴミ処理事業の経費は約1兆9,606億円にのぼり、国民一人あたり年間で約1万5千円を超える処理費用が必要となっています。
ごみの排出量が減少を続ける背景には、人口減少の影響やリサイクルの浸透、自治体による有料化や分別の徹底などが要因と考えられています。
産業廃棄物は、会社や工場など事業活動によって排出された廃棄物のうち法令で決められた20種類の分類に該当するものを指します。
会社や工場から排出されたものでも、それらに該当しないものは事業ごみ(事業系一般廃棄物)と呼ばれて区別されます。
産業廃棄物は年間約4億トンが排出されており、その排出量は近年横ばいで推移しています。
産業廃棄物に該当する種目は、以下の通りです。
燃え殻/汚泥/廃油/廃酸/廃アルカリ/廃プラスチック類/ゴムくず/金属くず/ガラスくず/コンクリートくずおよび陶磁器くず/鉱さい/がれき類/ばいじん
紙くず/木くず/繊維くず/動植物性残さ/動物系固形不要物/動物のふん尿/動物の死体
13号廃棄物(産業廃棄物を処分するために処理したもので、上記の産業廃棄物に該当しないもの
廃棄物は汚物や、不要物などの価値のないものと解されますが、不要物と有価物(価値のあるもの)の区別は難しいのが実状です。
例えば不要になった携帯電話などからは、レアメタルと呼ばれる希少金属を取り出すことが可能です。
壊れた携帯電話は一般の方にとっては不要物であっても、レアメタルを取り出せる事業者にとっては有価物ということにもなります。
廃棄物と有価物の違いで重要な点は、廃棄物を取り扱う事業者は取得が難しい許可が必要となっており、運搬に際しても「廃棄物収集運搬業許可」が必要となります。
一方、有価物の取り扱いは比較的簡単な許可ですみます。
そのため、有価物の取り扱いをしていると勘違いをして、廃棄物を取り扱ってしまうと無許可営業として罰せられる場合があります。
環境省の通知や判例では、以下の5つのポイントから廃棄物か有価物かを総合的に判断することとしています。
一般廃棄物は、家庭ごみと事業ごみに大別されますがその処理責任者は市町村です。
家庭ごみは、ゴミステーションなどで収集を市町村がするのが一般的ですが、事業ごみについては多くの自治体で許可を受けた収集運搬許可業者に事業者が直接依頼をして、家庭ごみとは区別して収集されることが一般的です。
産業廃棄物は、工場や工事現場、発電所などの公共設備や畜産農場など様々な場所から排出され、その処理は自ら処理をするか許可されている産業廃棄物処理業者にお金を払って処理をしてもらわなくてはいけません。
排出業者が産業廃棄物の処理を他人に委託する場合には、産業廃棄物の名称や運搬業者名、処分業者名などを記載したマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付して適正な処理をするように義務付けられています。
これは、産業廃棄物の委託処理における排出事業者責任の明確化や不法投棄の未然防止を目的としています。
産業廃棄物の不法投棄は、近年減少傾向にありますが2016年度には131件2.7万トンが確認されています。
一般廃棄物→市町村
産業廃棄物→排出事業者
今回は、廃棄物の種類や、廃棄物の処理に困った場合はどうすればいいのかについてご紹介しました。
廃棄物と一言で言っても種類や、出された場所、個人か事業者かなどによって処理方法が異なります。
また、廃棄物か有価物かなど、判断が付きにくい難しさがあります。
廃棄物の処理や処分方法、リサイクルの相談などは専門業者に相談をしてみることがオススメです。
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