街中を歩いているときに、ポイ捨てされたアルミ缶を見かけたことはありませんか?
捨てられているのをよく見かけるアルミ缶ですが、リサイクルすることで新しいアルミの原料として再生できます。
またアルミ缶の元になるアルミは、貴重な天然資源から作られています。
アルミ缶のリサイクルについて知り、あなたも一緒にアルミ缶リサイクルに取り組んでみませんか?
今回は、アルミ缶のリサイクル方法や、アルミ缶をリサイクルに出す時の注意点についてご紹介します。
アルミ缶をつくるためには、まず元になるアルミをつくる必要があります。
アルミの原料になるのは「ボーキサイト」と呼ばれる天然の鉱物です。
アルミは、ボーキサイトに大量の電気を流してつくられます。
そのため、毎回ボーキサイトからアルミをつくろうとすると高い電気代がかかってしまいます。
それに比べてアルミ缶をリサイクルして、もう一度アルミ缶をつくる場合、製造エネルギーの97%を削減できると言われています。
ボーキサイトなどの鉱物は、山を掘り起こして取り出されます。
山を掘り起こすと、川の水が汚れたり空気が悪くなったり、自然環境に悪い影響が起きます。
アルミ缶をリサイクルすると、このように山を掘り起こす必要がなくなるため、自然環境に優しくアルミをつくれます。
アルミは金属なので、ゴミとして捨てると埋め立てるしかありません。
しかし、ゴミを埋め立てられる場所や、埋め立てられる量は限りがあります。
アルミ缶をリサイクルしていれば、どうしても埋め立てて処理しなければいけないゴミに埋め立て場所を譲れます。
アルミ缶をリサイクルすると、ゴミを埋め立てる場所の寿命を長くする効果があるというわけです。
はじめにアルミ缶をリサイクルする効果についてご紹介しました。
続いては、具体的にどのようにリサイクルされていくのか、アルミ缶リサイクルの工程について紹介します。
アルミ缶をリサイクルする場合、なるべくアルミ以外の余計なものがくっついていない方がリサイクルしやすくなります。
そのため、1つ目の工程ではアルミ缶をきれいに洗浄して、アルミを取り出しやすくします。
洗浄してきれいになったアルミ缶を700℃まで温めると、溶けて形を整えやすくなります。
2つ目の工程では、アルミ缶を溶かして形を整え、地金(じがね)と呼ばれる大きなアルミの塊にします。
3つ目の工程では、リサイクルしてできたアルミの地金にローラーで少しずつ力を加えて、薄い板状に伸ばしていきます。
リサイクルされたアルミの地金は純度が高く、純度の高いアルミは少しずつ力を加えると常温でも加工できます。
最後の工程は「プレス整形」です。プレス整形で少しずつ伸ばして加工すると、薄いアルミの板は少しずつアルミ缶の形になり、出荷されていきます。
あなたが今日飲んだ飲み物のアルミ缶は、リサイクルされてできたアルミ缶かもしれません。
アルミ缶をリサイクルする効果、実際のリサイクル工程について見てきました。
続いては、リサイクルの始まり、「収集」について見てみたいと思います。
収集というのは、何かを集めることを言います。
「アルミ缶をリサイクルしよう!」と思っても、リサイクルするもとがないと始まりません。
アルミ缶リサイクルも、アルミ缶を収集することから始まります。
何もしなければゴミとして捨てられてしまいそうなアルミ缶を、集めてリサイクル工場に持っていく。
これがアルミ缶リサイクルの第一歩です。ポイ捨てされて道路に転がっているアルミ缶をゴミ箱にいれる。
これも大事なアルミ缶リサイクルの第一歩です。
使用後のアルミ缶を集めるのはとても大変です。
リサイクル工場としてもたくさんのアルミをリサイクルしたいのですが、先ほどお話したように、アルミ缶が集まらないとリサイクルすることもできません。
そこで、アルミ缶を集めて持ってきてくれれば買取りしますよ、という仕組みがリサイクル工場に広がっています。
集まったアルミ缶の中にスチール缶や、瓶が混ざっていたらどうでしょう?
集めたアルミ缶も、違うものが混ざった状態ではリサイクルがしづらくなってしまいます。
そこで「分別」の考え方が大切になります。しっかりと分別されたアルミ缶はリサイクルがしやすく、リサイクル工場も助かります。
燃えるゴミ、燃えないゴミ、という分別は皆さんもやった経験があると思います。
分別は、ゴミ処理、リサイクルのお手伝いを皆さんにお願いしているわけですね。
先ほど、集めたアルミ缶はリサイクル工場などに持ち込むと買い取ってもらえることをご紹介しました。
続いては、アルミ缶をリサイクルに出すときの注意点と、買取価格を上げるひと工夫などをご紹介します。
350mlのアルミ缶が1つ約15gで、だいたい70本集めると1kgになります。
買取りはだいたい1kg単位で行われていることが多く、買取価格は時期によって変動しますが、1kgあたり80〜90円ほどで買い取ってもらえます。
ご紹介したとおり、アルミ缶についた汚れはリサイクルの邪魔をしてしまいます。
中身が残っているものなどは、リサイクルがしづらくなってしまい買取価格が下がる原因になってしまいます。
リサイクルに出す予定のアルミ缶は、中身を捨てたり簡単に水ですすいだりしておくと、買取りしてもらいやすくなります。
こちらも先ほど少しご紹介しましたが、スチール缶やゴミが入ったアルミ缶は分別して取り除くようにしましょう。
1kgごとに買取されるアルミ缶ですが、約70本の缶の中に1本でもスチール缶が混ざってしまうと、買取価格を下げられてしまうかもしれません。
リサイクルしにくいアルミ缶は買取価格が下がる!と考え、丁寧に分別することをお勧めします。
アルミ缶のリサイクルについて、いろいろとご紹介してきました。
最後に、日本国内のアルミ缶需要、リサイクル率についてご紹介したいと思います。
2018年の日本国内のアルミ缶需要は、なんと217億本、330,700tにもなります。
これは国民一人当たり、1年間で155本のアルミ缶消費に相当します。
これだけのアルミ缶が消費されるわけですから、全てを天然資源からつくってしまうと莫大なエネルギー消費量になってしまいます。
アルミ缶のリサイクルがとても重要な活動であることがわかりますね。
2018年のアルミ缶リサイクル率は、93.6%にもなるそうです。
100のアルミ缶が使われたら、94本は回収され、新しいアルミ缶に生まれ変わっている計算になります。
また毎年リサイクル率は変わりますが、毎年90%ほどのアルミ缶がリサイクルされています。
ゴミとして捨てられる割合は10%ほどに抑えられているので、高いリサイクル率です。
今回は、アルミ缶のリサイクル方法や、アルミ缶をリサイクルに出す時の注意点についてご紹介しました。
アルミ缶のリサイクルは、自然環境を守り、埋立てゴミが出る量を少なくする、とても大切な取組みだということをお伝えできたかと思います。
これまで何気なく分別せずに空き缶を捨てていたという方がいらっしゃいましたら、リサイクルのことを少しだけ思い出していただけると幸いです。
今日から簡単に始められるアルミ缶リサイクル、あなたも一緒に取り組んでみませんか?
※この記事に含まれる情報は公的機関の掲出物ではありません。お客様の責任でご利用ください。