冬場にはなくてはならない灯油ですが、暖かくなると使用する量も少なくなってしまいます。
環境省の調査では、平成26年度の一般家庭の灯油消費量は年間165リットルと言います。エアコンや電気ストーブなど、灯油を使用しない暖房器具も増加していますが、平均すると年間でポリタンク10本弱が消費されている計算になります。
特に北海道などの寒い地域では、自宅に大きな灯油タンクを備える家も多く暖かい地域と比較すると多くの灯油が消費されています。
身近なエネルギーである灯油ですが、可燃性のため危険物としての取り扱いが必要になります。
灯油は時間とともに劣化してしまいうので、長期保管には向きません。
そこで今回は、使わなくなった灯油を処分する方法や、処分する時の注意点についてご紹介します。
灯油は石油ストーブやファンヒーターの燃料として、ガソリンスタンドやホームセンターで購入できる身近な燃料です。
消防法では、灯油は「第4類引火性液体の第2石油類」に分類される危険物として扱われています。
そのため、保管や取り扱いには注意が必要で大量の保管には届け出が必要な場合があります。
東北や北海道など寒い地域で、家の外に大きな灯油タンクが立っている光景を見たことはないでしょうか?
家庭用の大きな灯油タンクの容量は490Lという半端な数量になっていることが多く、これは一般家庭で保管する場合、500Lを超えると届け出が必要になるためです。
灯油は引火点が40℃以上のため通常の保管方法では自然発火しません。
しかし、揮発性があるためなんらかの着火源があれば気化した気体が、引火や爆発の危険があるので処分には十分注意が必要になります。
多くの家庭では灯油を購入・使用するは冬場だけという場合が多いのではないでしょうか?
お湯を作るために灯油を熱源とした、石油給湯器が利用している家庭もありますがガス給湯器と比較すると普及率は低く、全体の1割弱に留まっています。
冬季間だけ使用する場合が多い灯油ですが、暖かくなって使用しない場合にはゴミとして処分できるのでしょうか?
自治体のゴミ回収のルールは、その自治体によって大きく異なります。
ホームページなどでは、細かい品目ごとに処分方法や回収の可否について掲載されていることが多いので住んでいる自治体のルールをよく調べてから処分をするようにしましょう。
例えば、東京都新宿区の場合では、「石油類(ガソリン・軽油・シンナーな)」は区では収集できないとされています。大阪府大阪市では、「使い切れない場合などは販売店、ガソリンスタンド等にご相談ください」とされています。
一方、新潟県新潟市の場合には、「少量の場合は新聞紙等に浸して「燃やすごみ」多量の場合は販売店にご相談ください」とされています。
このように、自治体によってゴミ収集のルールは異なりますので、誤った処分方法をしてトラブルにならないように気をつけましょう。
【参考】環境省給湯器・給湯システムの使用状況
【参考】新宿区
【参考】大阪市
【参考】新潟市
使用するつもりで購入した灯油が余ってしまった場合、どのように処分をするのが簡単でしょうか?
簡単に処分する方法のひとつに、ガソリンスタンドや販売店で引き取ってもらうという方法があります。
ガソリンスタンドや灯油販売店の場合には、少量であれば無料や少額で引き取ってもらえる場合があります。
コスモ石油では「古くなった灯油の廃棄につきましては、フルサービスのサービスステーションに処分をご依頼ください」とされていますし、ENEOSでは、「余った灯油や古い灯油の処分については購入したSS・販売店にご相談ください。」とされています。
セルフ式のガソリンスタンドでは処分が難しい場合が多いので、近くのフルサービスのガソリンスタンドに問い合わせをしてみるといいでしょう。
最近ではホームセンターなどでも灯油を販売している店舗が多くありますが、処分を引き受けてもらえる場合は少ないようです。
灯油配達サービスをしているカインズホームでは、「古い灯油の処分については、お客様ご自身でお願い致します。」とされています。
近くに販売店がない場合には、自動車整備工場など油類を定期的に使用している場所に相談してみる方法もあります。
また、不用品回収業者などに処分を依頼するという方法もあります。ただし、少量の灯油のために業者を依頼するというのはあまり現実的ではないかもしれません。
余ってしまった灯油を、安易に廃棄処分をするのは危険なため絶対に土に埋めたり川に流したり燃やしてはいけません。
下水に石油類を流してしまうと、揮発した灯油に引火した場合は爆発事故が起こる場合があります。
灯油の引火点は高くないため、液体の状態では火がつきにくいですが、気化した気体になった灯油は発火点があれば引火・爆発の恐れ場あります。
また、河川に直結した下水から川に流れ込むことで生き物に悪影響を及ぼす場合があります。
下水管の汚染や破損が起こると、多額の賠償費用を請求される場合もあるので決して下水や川に流してはいけません。
灯油を土に埋めてしまうと、土壌が汚染されてしまい植物が生えてこなくなる場合があると言われます。
土壌が汚染されてしまうと、もとに戻るのに長い時間がかかってしまいます。
また、灯油を流した地面にタバコのポイ捨てなどによって引火する可能性も否定できません。
環境汚染や事故に繋がる可能性があるので、決して土に埋めてはいけません。
石油ストーブやファンヒーターでは燃料になる灯油ですが、直接火をつけて燃やしてしまうと爆発や、火事の恐れもあるので決して燃やしてはいけません。
購入した灯油はできる限り有効に活用しましょう。
少しの工夫で処分することなく使い切れるかもしれません。
暖かくなってきたら、灯油を購入する量を少しずつ控えるようにして、シーズンオフに余ってしまわないように工夫しましょう。
天気予報や気温予測を見て、必要な量だけを購入するようにすれば余る量も少なくできます。
購入した灯油なので、使い切ってしまいましょう。
身体を温める以外にも、洗濯物を乾かすためにストーブを付けておくという方法もあります。ただし、くれぐれも火事には注意しましょう。
近くで必要な方を探して分けてあげましょう。灯油も決して安いものではありませんので、欲しい人がいるかもしれません。
キャンプやバーベキューなどの際に、灯油ランタンや灯油ストーブで使うという方法もあります。
お金をだして購入した灯油なので、できる限り有効に活用したいものです。
灯油には汚れや接着剤を除去する効果があります。
少量の灯油であれば掃除に活用するという方法もありますが、物によっては劣化や変色を起こしてしまう場合もあるので注意して使用しましょう。
灯油は時間が立つと劣化してしまいます。
購入した灯油は、シーズン中に使い切ってしまうようにしましょう。
ファンヒーターや石油ストーブの中に、灯油を残した状態にしておくと機器の故障の原因にもなります。
使わない場合には、最後まで灯油を使い切ってから片付けるようにしましょう。
そこで今回は、使わなくなった灯油を処分する方法や、処分する時の注意点についてご紹介しました。
灯油は危険物なので取り扱いには注意が必要です。
また、長期間の保管には向かず劣化してしまうので、シーズン中に使い切ってしまうようにしたいものです。誤った処分方法は、環境への悪化や危険を伴うため適切な処分が必要です。
できる限り使い切れる量を購入し、もし使い切れなかった場合には適切な処分を心がけましょう。
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