使用されたプラスチック、廃プラスチックが環境への影響が大きいことが世界的な問題になっていますが、現状のリサイクルの方法には問題があるのでしょうか?
プラスチックの抑制や適切なリサイクルは海洋汚染や温暖化など食い止める効果があり、積極的な廃プラスチックのリサイクルに取り組む必要があります。
プラスチックごみを分別回収したリサイクル率は、世界全体でみると作られたプラスチックの内わずか9%しかなく、残りの91%は焼却や埋め立て処分、環境へ流出しているとされています。
廃プラスチックのリサイクルを適切に進め、廃棄によって生じる環境破壊をストップさせていく努力が求められます。
そこで今回は、環境への影響が多いプラスチックのリサイクルについてご紹介します。
大手飲食店が使い捨てプラスチックストローの廃止や紙ストローの導入を始めたことをきっかけに、近年注目されているのが「廃プラスチック問題」です。
世界的な問題となっているのは、廃プラスチックが海洋へ流出することにより生じる海洋プラスチック問題です。
排出されたプラスチックが海に流出するとマイクロプラスチックとよばれる微小なプラスチックとなり、通う生物の体内に蓄積され海洋汚染の原因となっています。
また、マイクロプラスチックは分解されるまで100年以上もの時間が必要なため、海洋生物の生態系への影響についても指摘されています。
人体への影響も深刻です。
マイクロプラスチックを体内に取り込んだ海産物や海洋飲料水、ほこりなどにより人体に侵入するリスクがあり、マイクロプラスチックによる健康被害が懸念されています。
環境への影響があるプラスチックですが、リサイクル方法には3つあります。
マテリアルとは「物」という意味があります。
その名の通り、物から物へ再生利用するリサイクル方法です。廃プラスチックや生産工程からでるくずとなったプラスチックを回収処理し、新しい製品や原料に生まれ変わらせます。
例えば使い終わったペットボトルをリサイクルし新しいペットボトルにするなど、家庭から出る廃プラスチックもリサイクルされています。
日本ではリサイクル方法のひとつとして利用されていますが、海外においては熱回収という認識でリサイクルとはみなされていません。
ケミカルリサイクルは、廃プラスチックを科学的に処理分解し製品のもととなる、化学原料に利用するリサイクル方法です。
ケミカルリサイクルには「高炉還元剤」「コークス炉化学原料化」「ガス化」「油化」の4つの手法があります。
廃プラスチックを処理する際には熱が発生しますが、その熱をエネルギーとして再利用する方法です。焼却した際に生じる熱エネルギーを利用するサーマルリサイクルは、「火格子焼却炉」「流動床焼却炉」「ガス化溶融炉」されて、リサイクルにコストがかかるものやマテリアルリサイクルできない廃プラスチックに対応しています。
では、廃出されるプラスチックごみにはどのような種類があり、どんな流れでリサイクル処理されるのでしょうか?
家庭から出るプラスチックごみは、可燃ごみ、不燃ごみ、ペットボトルや容器包装などの資源ごみに分かれ処理されます。
可燃ごみは焼却、不燃ごみは破砕、選別ののちどちらもサーマルリサイクルされ、資源ごみは資源回収されたのち、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルといった形で有効活用されています。
分別回収の方法や種類については自治体によって異なりますが、可燃ごみとして回収された廃プラスチックもエネルギーとして活用される場合があります。
公益社団法人全国産業資源循環連合会が発行する「INDUST」2019年5月号 No.379によると、2017年国内での廃プラスチックの有効利用率は86%とされています。
内訳はマテリアルリサイクル(材料リサイクル)23.4%、ケミカルリサイクル4.4%、サーマルリサイクル(エネルギー回収)58.0%です。
日本におけるプラスチックの分別回収は世界でもトップクラスで、リサイクル率84%を誇ります。
世界基準で高いリサイクル率で、食品トレーやビニール袋も分別・リサイクルされています。
日本でのリサイクル率の数値には世界から疑問の声が上がっているのも事実です。
回収されたプラスチックの7割以上が焼却されており、サーマルリサイクルをリサイクル法とみなさない世界からみると、日本のリサイクルの概念や方法に問題があると指摘されています。
日本のプラスチックのリサイクル率は高いとされていますが、実は多くの廃プラスチックが焼却されているというカラクリが隠されています。
サーマルリサイクルとして廃プラスチックを焼却した熱を活用していますが、サーマルリサイクルを除く実質的な日本国内でのリサイクル率は1割にも満たないのです。
近年、日本ではリサイクルの意識が高まりつつあり、2020年7月1日よりプラスチック製買物袋の有料化がスタートされました。
プラスチックは便利な素材で生活に欠かせない存在ですが、一方で廃棄物や環境問題などの課題があり、プラスチックの過剰利用を押さえ適切に利用していかなければいけないという課題のもと施行されました。
プラスチック製買い物袋の有料化をきっかけに、何気なく利用していたプラスチック製の買物袋ですが、有料化に伴い多くの人がマイバックを活用するなどリサイクルの意識が高まりつつあります。
「3R」という言葉を聞いたことがありますか?
3Rとは上記3つのキーワードを表しています。
最近では、リサイクル(Recycle)からリデュース(Reduce)として、プラスチック製ストローやマドラーが廃止されたり、廃プラスチックを再生ペットボトルとしてリサイクルしたりなど3RのReduceが注目されています。
買物袋の有料化に伴い、マイバックを利用し無駄な包装をしないこともReduceのひとつです。
まずはごみをなるべくださない、という視点が重要視されています。
そこで今回は、環境への影響が多いプラスチックのリサイクルについてご紹介しました。
近年、プラスチックごみの輸入制限が起きているため、国内でプラスチックをリサイクルする頻度が高まりつつあります。
廃プラスチックの排出量を減らし、自国で排出したプラスチックは責任をもってリサイクルしなければいけません。
プラスチックを捨てるとただのごみにしかなりませんが、適切に分別することで貴重な資源としてリサイクルし生まれ変わります。
日本のプラスチックのリサイクルはまだまだ発展途上ですが、確実に私たちの意識は高まりつつあります。
環境を守るため、プラスチックリサイクルへの理解を深め、3Rを賢く活用することが大切です。
株式会社スリーエスでは、廃棄物収集運搬業を主体にビルメンテナンス、産業廃棄物中間処理、リサイクルなど「環境」をキーワードに事業展開し、地域環境と地域福祉に配慮し快適な空間作りや地域社会への貢献を目指しております。
大切な未来、美しい地球を守るためプラスチックのリサイクルについて関心のある方はぜひ弊社へお気軽にお問合せください。
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