近年、『脱炭素社会』というキーワードをよく耳にするようになりました。『脱炭素社会』は別名カーボンニュートラルとも呼ばれ、二酸化炭素の排出と吸収が釣り合った状態をさします。なぜ脱炭素社会が注目されるようになったのでしょうか。
この記事では、脱炭素社会について地球温暖化、化石燃料との関連を交えてご紹介します。
脱炭素社会の実現は、地球温暖化防止と深く関わりがあります。近年、地球温暖化による悪影響が私たち人類の生活を脅かし始めたため、『脱炭素社会』というキーワードが頻繁に関連づけられるようになりました。
先ほど紹介したように、脱炭素社会は『カーボンニュートラル』とも呼ばれます。具体的にいうと、『二酸化炭素に代表される温室効果ガスの排出と吸収が釣り合っており、実質的な温室効果ガスの排出がない状態』をさします。
温室効果ガスは、大気中に排出されると徐々に気温を上昇させる働きがあります。つまり、二酸化炭素排出が増えるほど、地球全体の気温が上昇するのです。
近年、地球温暖化による悪影響が目に見える形で現れるようになりました。世界を見てみると、海水温の上昇によって北極の氷が溶け出し、海水面が上昇、海水の下に沈んでしまう地域があります。また、異常気象による大規模災害も近年多く発生するようになりました。このまま地球温暖化が進めば、以下のような悪影響が人類をはじめとする生物全体に及ぶと考えられています。
・沿岸部の洪水や高潮被害の増加
・異常気象の多発
・気温上昇にともなう熱波の発生
・水資源不足による農業生産量の低下
・生態系の変化による食糧難
このような地球温暖化による影響が広がれば、いずれ私たちは地球に住むことが難しくなります。地球温暖化を食い止めるために、世界各国はパリ協定(※)に参加し、二酸化炭素の排出抑制に取り組んでいるのです。
※パリ協定:温室効果ガス削減に関する国際的取り決めを話し合う枠組み
地球温暖化を防止するためには、脱炭素社会の実現が不可欠です。では、脱炭素社会の実現にむけて、わたしたちはどんなことに取り組む必要があるのでしょうか。
現在、世界では年間約330億トンもの二酸化炭素が排出されていると言われています。二酸化炭素の多くが排出されるもとになっているのは『化石燃料の消費』です。ガソリンや石炭の消費による二酸化炭素の排出は、全体の75%にもなると言われています。脱炭素社会を実現するためには、化石燃料の消費による二酸化炭素排出低減が不可欠です。
二酸化炭素排出を低減するためには『なんでも大切に使う』という考え方が重要です。現在、車を走らせるためにも、電気を生産するためにも化石燃料の力を借りる必要があります。それは二酸化炭素を排出しながら生活しているということに他なりません。ガソリンも電気も、日頃から節約を心がけることが大切です。
化石燃料に依存した生活は、地球温暖化を促進します。化石燃料に頼った生活を見直し、私たちひとりひとりが地球温暖化を考えることが、脱炭素社会の実現のために不可欠と言えるでしょう。
世界中で化石燃料が消費され、多くの二酸化炭素が排出されていることをご紹介しました。では、私たちの住む日本ではどのような状況でしょうか。
2017年時点で、日本は世界で5番目に二酸化炭素排出量の多い国です。中国とアメリカで二酸化炭素排出量全体の約40%を占めるとはいえ、日本も全体の3.4%、年間約10億トンもの二酸化炭素を排出しています。
また、日本国内で使用されるエネルギー源の約90%は原油や石炭で占められており、化石燃料依存が高い状況です。国内でエネルギー生産を行うことが難しい『島国』という環境が、日本の化石燃料依存を高めている一因となっています。周辺を海に囲まれている日本は、限られた国土でエネルギー源を調達する必要があるのです。そのため、必然的に国外で生産されるエネルギー資源に頼らざるを得ず、多くのエネルギー源を化石燃料に依存しています。
つまり、日本は化石燃料の使用を低減することが難しい環境にあるため、『二酸化炭素の大気中への排出をどのように抑えるか』という視点で、脱炭素社会実現に取り組まなければなりません。
繰り返しになりますが、脱炭素社会は温室効果ガスの排出と吸収が釣り合っており、実質的な温室効果ガスの排出がない状態をいいます。したがって、日本が脱炭素社会を実現するためには、『温室効果ガスの吸収』と『温室効果ガスの排出低減』をあわせて行う必要があるのです。
温室効果ガスの吸収を実現する技術としてCSS(Carbon Capture and Storage)と呼ばれる技術があります。セメント工場や火力発電所など、多量の二酸化炭素が排出される場所で二酸化炭素を回収し、地層に吸収・固定させる技術です。日本でも2016年4月から実証実験が行われ、実用化に向けた取り組みが行われています。
参考|資源エネルギー庁|CO2を回収して埋める「CSS」、実証実験を経て、いよいよ実現も間近に
URL:https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/ccs_tomakomai.html
温室効果ガスの排出を低減するためには、化石燃料依存をやめなければいけません。そのための技術として注目されているのが『水素発電』と『電化』です。
水素発電は、水素と酸素が化学反応する際に発生する大きなエネルギーを利用して発電する方法です。しかも、水素と酸素の化学反応でできるのは水だけ。二酸化炭素は排出したくないけど、電気エネルギーの生産は行いたいという、日本の事情にあった発電方法といえるのではないでしょうか。
また、水素発電によって生産した電気を使うための『電化』も大切です。例えば、お湯を沸かす場合を考えてみましょう。ガス給湯器を使うと、化石燃料でもあるガスを使用しなければいけません。一方、電気式の給湯器なら電気だけでお湯を沸かすことができます。ガス給湯器は二酸化炭素を発生させてお湯を沸かしますが、水素発電でつくった電気でお湯を沸かせば発生するのは水だけです。
温室効果ガスの発生を抑え、止むを得ず発生した場合も吸収させる、という考え方とそれを実現する技術が、脱炭素社会を実現させるために必要不可欠といえるでしょう。
脱炭素社会は、地球温暖化防止だけでなく、化石燃料枯渇の問題解決のためにも必ず実現させる必要があります。
現在、私たちは生活のいたる所で石油の恩恵を受けています。自動車ガソリン、プラスチックなどの石油化学製品、火力発電でつくられた電気の利用などです。仮にこのまま石油に頼った生活を続ければ、地球温暖化が進み、異常気象の発生や水不足、食糧難が起こると考えられます。さらに石油の枯渇によって物流や工業は衰退し、トイレットペーパーや洗剤といった日用品の調達も困難になるでしょう。
このような未来を招かないためにも、私たちひとりひとりが脱炭素社会の必要性を考え、地球温暖化防止のためにできることを日頃から考えて行動しなければいけません。
いかがでしたでしょうか。脱炭素社会の実現は、地球温暖化防止と深く関連しています。現在の私たちの生活は、大量の化石燃料消費と二酸化炭素排出によって成り立っていることをご理解いただけたのではないでしょうか。
脱炭素社会は、私たちが地球に住み続けるために必ず実現させなくてはなりません。私たちひとりひとりもできる『なんでも大切に使う』から一緒にはじめてみませんか?
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